ライフゲームと宇宙

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ライフゲームとはチェス盤のような格子状のマスの上で展開されるシミュレーションゲームのことだ。
ルールは至って簡単でプログラミングもしやすい。

0.格子状のマスは2つの状態のうち片方を取る(生か死、onとoff)
1.offマスの周囲8マスにonのマスが3つあれば次の世代にoffからon状態となる。(生が誕生する)
2.on状態の周囲に2つか3つのonのマスがあれば次の世代でもon。(生き残る)
3.上記以外のマスは次の世代でoff。(死ぬ)

たったコレだけのルールだが、広いディスプレイでランダムにonのマスを配置すると、本当の意味でのカオスな振る舞いが観測できる。それはまるでうごめく生き物のように感じる。

眺めているだけでも非常に楽しい。(DSとかで出たら速攻で買ってしまいそうだ。)
(実際に動かしてみたかったら[Golly Game of Life Home Page]とかお勧め。)
しかし大抵の場合、いつまでもこのうごめきは続かず、いつか静寂が訪れる。

高校生の時にこのライフゲームに触れ、当時はこの静寂に至るまでの過程と熱的死を迎える宇宙の未来がなんとなく被るなぁと思っていた。

このことを思い出し、息抜きと言うことで本棚に置きっぱなしになっていた「ライフゲイムの宇宙」という本を最近は読んでいた。この本を見つけたときはすげーワクワクした物だが、どうも時間が割けなくてなかなか読めず終いであった。
the_recursive_universe.jpg
本書では自分自身を複製するような機械は存在するのか?更に自身の構造よりも複雑な機械を作る機械は作れないのかというフォン・ノイマンの疑問を皮切りに、現実世界の物理現象と(ライフゲームの)仮想世界での現象の話を交互に進めていく。

この動画のようなライフゲーム上でよく見られるパターンの解説もあるし、

タイトルにもある宇宙の話もライフゲームと絡めて出てくる。永遠とも思えるはるか先の未来の話とかされるとすげーワクワクする。そのときまで生命が存在していると到底思えないが、そのときの様子が現時点で予想できるのは興味深いことだ。
また、マクスウェルの悪魔やエントロピーの解説が分かり易く、面白かった。


話は冒頭にあった自己再生する機械の話に戻る。結論から言うとコレは自分自身を表すデータとデータを元にモノを生成するコンストラクタ(生成器)、コンストラクタの監視器があれば可能ということをフォン・ノイマンは証明する。実際に生物がやってることもあまり変わらないようだ。

更にライフゲームでコンピュータを作成するというすごい話になる。AND,OR,NOTといった論理ゲートと外部メモリをライフゲーム上のありふれた物体で実現し、最終的に広大な空間があれば汎用コンピュータが作成可能という話になる。ヤバイ。ライフゲームヤバイ。

この時点でコンウェイ頑張りすぎだろ...だが、更に更に頑張ってこのコンピュータとコンピュータを生成するコンストラクタとコンストラクタ監視役をくっつけて自己生成する汎用コンピュータという展開になる。まじでヤバイよ、マジヤバイ。まず広い。もう広いなんてもんじゃない。超広(略)

本書ではこのパターンができるのにどのぐらいの空間が必要なのか、ランダムな配置から生まれるのかということについても議論している。1マスが1bitの情報しか持たないことを考慮したとしても、途方もなくスケールのでかい話だ。

(p.247)

自己生成から複雑さが生じるのである。
本書を読んでるうちにライフゲームが宇宙の様子に似ているのではなく、むしろ逆で、宇宙がライフゲームのような物だと思うようになる。実際に自己複製の結果である自分がココにいること思うと実に不思議な気分にさせてくれる本だ。

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このページは、Lyoが2009年4月16日 01:09に書いたブログ記事です。

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