しばらく作りかけて放置していたchoco60(v1)が、GW中にようやく完成。
交換を見据えてソケット化した静音軸スイッチ+スプリング交換して変荷重レイアウトにしたのがこだわりポイント。
このように分割形式でも使える!
どうも世の中に自作キーボードなる世界があるというのはHHKBのユーザーミートアップで知ったのだが、HHKB持っているし、静電容量スイッチは無いみたいだからいいかぁ‥とその場ではスルーしていた。
その後、しばらくして調べてみるとHHKBと同じ配列ベースの自作キーボードがいくつかあることを知り、興味があったので技術書典に行ってみた。そのときに買いたいと思っていたのがchoco60だったのだが、残念ながらその場で売り切れ。何も買わないのももったいないと思い購入したのが、『Learning Custom Mechanical Keyboard』(通称: #白ウサ本)だった。
実際に作る前に読んでおくと自作キーボードに必要な知識を得られる。コンパクトにノウハウがまとめられた良い本だった。知識を得た上で実際に自作キーボードの世界にいざ入門!
やりたかったこと
・HHKBと同じレイアウトで
・HHKBよりもキータッチを軽く、静かにしたい
やったこと(準備編)
1⃣キースイッチの選定
遊舎工房に行って実際に様々なスイッチを試してみた。良さげな静音軸スイッチをいくつか選んで一個ずつ購入。あとは家で押しまくって何が良いのか決める。
自分の中ではHealios、画像にはないけどGateron InkのSilent Blackが良かった。
やはり価格相応という感じ。Healiosはv2があり、v1よりもv2のほうが良い印象。
2⃣キーキャップ準備
ハマると自作キーボードの世界で一番散財しやすいポイントだと思った。こだわると$100オーダーの世界。でも最も目につくポイントでもある。また、手元に届くまで平気で半年以上はかかるので気長に考える必要がある。
今回はGMK RED SAMURAIをベースにしている。
ベースキットだけでchoco60に必要な分割スペースバーが手に入るのがポイントだった。GMK RED SAMURAIキーキャップセットが届く。
— ぺけよ (@Xyo) September 19, 2021
ベースキットだけでも、キーの種類豊富。割と好みの臙脂色で良かった。これは黒系のキーボードに使うことにしよう。 pic.twitter.com/rydwpq4MWK
ただ、GMK RED SAMURAIには1Uスペース、コマンドキーでよさげなものがないので、積み状態になっていた別キット(GMK 9009)から拝借。
3⃣潤滑とスプリング交換
潤滑は「recompile keys キースイッチ ベストプラクティス」を参考にした。この辺の作業が一番コツコツ感がある。
スプリング交換はやっているうちにどのへんが良いのかわからなくなり(気づくとスプリングの種類が増えている)、完全に迷宮に入り込んだ感がある。
個人的にはHHKBよりも軽くしたいという当初の思惑があって、45sを上限としたが、軽すぎるのも考えものだということがわかったので、今後は重い方向にトライしても面白いのかもしれない。
4⃣キー配置を決める
45s~20sまでのスプリングを使って東プレRealforceっぽく変荷重にしてみた。
Lubeすっかぁ。
— ぺけよ (@Xyo) November 8, 2020
赤 45s x 2
黄 40s x 9
黄緑 35s x 24
緑 30s x 9
水色 25s x 13
青 20s x 5 pic.twitter.com/nOGfXxAe7M
5⃣ソケット対応
完成後にキースイッチ交換したくなると思い、Mill-Max 3305-0-15-80-47-27-10-0を使用。個体によってはタイトでソケットが入りにくい場合がある。面倒でも金属ヤスリで足の部分を少し削ると良い。無理にソケットを付けようとすると足が折れて、付けるのがますます困難になる。
やったこと(工作編)
基本的に公式のビルドログに沿ってやったぐらいである。
少し自分のやったこと事を補足すると
・コンスルーピンヘッダはんだ付け後のピン除去
ボトムプレートと干渉しないように、はんだ固定側のピンは切って、高さを切り詰めた。
・ファームウェア書き込み
「自作キーボード温泉街の歩き方 (初心者編)自作キーボードにファームウェアを書き込む」を参考にした。
・ダイオードのはんだ付けが終わったらピンで一度通電テスト。
基板のみで文字が打てるのかをまず確認した。
・スタビライザーのlube
この動画を参考にした。
底面がぶつかるところにバンドエイドを仕込んでクッション代わりにするのをband aid modと呼ぶらしい。
たしかにやたらと静かになる。
作ってわかったこと
・キーは軽ければ軽いほど楽...とは限らない。
適度に反発力がないとかえって疲れるし、タイプミスも多くなる。(35s以上が良さそう。)
・TRRSケーブルはふにゃふにゃのほうが取り回ししやすい。
スリーブ付きは見た目が良いが、ケーブルが固くなり取り回しが難しくなる。
・HHKB準拠のコマンドキーを集めるのが割りと大変。
HHKBに寄せてると1.5Uのコマンドキーが必要になるが、この大きさのコマンドキーは割と希少。(手持ちだとGMK9009の拡張パーツぐらいしかない)
HHKBに慣れているのでALTと交換したくはないのが悩みのタネ。
・変荷重レイアウトが難しい。単に人差し指中指から遠いほど軽くするものではないと思う。例えば...
①<>→対になっているキーは重さを揃えたい。
②zxcv→Ctrlと組み合せると人差し指も割と使う領域なのでこちらは揃えた。
①②は作りながら対応したが、今後は更に以下も追加すべきと考える。せっかく増えたスプリングなので、バネ配置を考えていた。結構難しい。左が初案。右がv2。
— ぺけよ (@Xyo) October 27, 2020
初案では押す力が強い指から遠くなるほど弱くなるよう変荷重にしたんだけど、単純に距離じゃないんだよな...。(<>のように対になっているキーは揃えたい。Ctrlで押すキーは人差し指使う等) pic.twitter.com/Sh8a5myl7n
③wasd→ゲームを考えるとこれも重さを揃えるべき領域。
・スプリング交換後の静音性比較
面倒で試していなかったが、スプリング交換後にお気に入りスイッチの音比較をやってみたほうが良いかもしれない。初期スプリング時の比較評価とはまた違った評価になる可能性がある。もしかしたら安いスイッチも候補にまた選ばれるかもしれない。当時のログを見返すとHealiosとSilent black Inkだけでも相当悩んでいた。
・ソケットの厚みにそこまでこだわらなくても良かった。HealiosとSilent black Inkを両方とも40sスプリングに変更して比べてみた。正直スプリングを同じにすると打鍵感の違いは分からんなぁ...。静音性もSilent black Ink とHealios v2は同じように感じる。
— ぺけよ (@Xyo) October 25, 2020
Healios > Silent black Ink ≧ Healios v2
個体差が有るような気がするなぁ。 pic.twitter.com/c70Gd9mc1V
途中、Mill-Max 7305-0-15-15-47-27-10-0から3305-0-15-80-47-27-10-0に鞍替えしたが、スイッチプレートによってスイッチが浮くのであまり拘る必要はなかったかもしれない。
・ソケット対応にするにははんだごてのスキルを上げる必要がある。
ソケットのところだけは共晶ハンダを使って流れやすくしたが、2~3割はミスっている気がする。
・スイッチブレートの位置決め大事。ソケットはんだ付けに関する自分用メモ
— ぺけよ (@Xyo) May 6, 2022
①こて先のコンディションを確認する。はんだがついたら拭き取る
②こて先でスルーホールとソケットを同時に温める
③はんだをこて先で溶かしたらソケットの足で溶かす(コテ先使うとソケットの中に流れやすい)
④はんだを下げてしばらく温め続けて様子見。 pic.twitter.com/faoEPw8G3p
→これがヘマるとキーボード全体が歪む。一番大事な工程に思えた。
・量産効果の凄さ
→世界におそらくひとつだけのキーボードが得られる嬉しさはあるが、
工業製品なのでHHKBは安いという間違った認識も持つようになる。
ちなみにカスタムUSBケーブルは@2zk氏から購入した。
TRRSケーブルだけで難儀していた自分にとって、カスタムUSBケーブル自作はすごすぎる。
今回は好きな様にやってしまえ!と吹っ切ったおかげで初自作ではあったが
自作キーボードの狂気レベルでは一気に4層目ぐらいにたどり着いた。
自作キーボードではqwerty配列に拘る必要すらないという自由度がある。
次はキー配列のカスタマイズに手を出してみたいと思っている。